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参議院選挙で1議席を獲得した「NHKを国民から守る党」の立花孝志代表がこのところ一人で話題をさらっている感がある。7月29日放送の「5時に夢中!」(TOKYOMX)でマツコ・デラックスが立花氏やN国党を「気持ち悪い」と評したことに立花氏が激怒したことから、「テレビに出ている芸能人はNHKを批判できない!!」と立花氏が猛反論し、「5時に夢中!」のスタジオ前で抗議活動を8月は3週に渡って行った。
立花氏が国会議員でなければ、一視聴者が番組に抗議する手法としてそれほど問題はないだろう。一視聴者が公共の電波を使用するテレビ局に対して抗議する方法は、番組やテレビ局に抗議のメールやFAXを送るか、テレビ局の前で街宣活動をすることぐらいしか方法がないからだ。さらに、普通のYouTuberならば、テレビ局のスタジオ前で抗議すればそれを面白がる視聴者もいて視聴回数を増やすことにつながるのでパフォーマンスとして理解できなくはない。
しかし、立花孝志氏は今や国会議員だ。つまり、普通の一般市民ではなく権力者なのだ。国会には調査権をはじめ様々な特権が与えられており、一般国民の代表である。一般市民によりテレビ局の方が多大な影響力を持っているが、ある意味、それ以上の影響力を持つ存在になっていることに立花氏自身が気づいていないのではないだろうか。
そうした人間がテレビ局のスタジオ前に行って抗議をするというのは、圧力でしかない。そして、立花氏には国会議員としての品位が求められる。ましてや良識の府である参議院議員なのだ。
国会議員という公人となった以上、批判されることは受け入れなければいけない。テレビ番組で「気持ち悪い」と言われたぐらいで、抗議に行くようなことではこれから先、NHKのスクランブル化という公約を果たすような大きな仕事はできないに違いない。
仮に、NHKをスクランブル化することになると、国民を二分するような議論になるだろう。賛成も多いだろうが、テレビを中心に大きな反対も湧き上がるだろう。そうした時、反対や批判したテレビ局やコメンテータに対しても同じようなことをするのだろうか。
YouTuberが炎上商法を使ったり、大げさにものを言ったりするのは理解できる。そうすることでPVを増やし、収益を増やしているのは皆が知っていることだ。しかし、国会議員になれば、そうはいかない。事実、選挙に当選するまでの立花氏とそれ以後では注目度も影響力も全く違う。二つの仕事を兼業といえども、国会議員という仕事を優先させてもらわなければ困るし、そうでないならば議員は辞めるべきではないだろうか。
立花氏はYouTuberという職業の人が初めて国会議員となった初めての人だ。ネットと政治の在り方を考えるう上でも大変興味深い事例になるだろう。国会で起こった出来事を国会議員自らが直接、有権者に伝えることが可能なのか、そこでメディアという第3者が入る意味など、メディアの在り方も考えていくことができる大変貴重な事例となりうるが、こんなしょうもないことで話題になっているようではそんなことは期待できそうにない。
もし、これまで通りの炎上商法狙いのYouTuberを続けたいならば、即刻国会議員を辞職してもらいたい。