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自民党がグノシーを使って参院選対策?~国家権力の乱用も

参院選までおおよそあと1か月。国会はまだ閉会していないが、事実上選挙戦は始まっているようなものである。そのような時期に、自民党はなんと、ニュースアプリ大手「グノシー」とコラボレーション企画を始めたのだ。これは、参議院選挙対策と言われても仕方ないだろう。

「グノシーQスペシャルウィーク・日本政治王決定戦」collaboration with 「#自民党2019」プロジェクトの様子

「グノシーQスペシャルウィーク・日本政治王決定戦」collaboration with 「#自民党2019」プロジェクトの様子

自民党とグノシーのコラボで始まった企画は「グノシーQスペシャルウィーク日本政治王決定戦」で開催期間は6月10日から16日の一週間で、毎日10時から30分間。毎日一問一答形式でクイズを複数題出題し、一週間で一番正解の多い人がクイズ王に認定されるという内容。ちなみに、初日は5題出題された。(練習問題は除く)優勝者には、安倍総裁からビデオレターがもらえるというお金を払ってももらえないような優勝賞品付きだ。

〇ニュース配信の公平性は守られるのか?

グノシーが一つのメディアとしてクイズ大会をするのは別に何の問題もない。問題は自民党が絡んでいることだ。大きな問題点は二つ。一つは、参院選があと一か月に迫った時期であるということ。衆院選があるかないか別としても参院選は必ずあと一か月でやってくる。もう一つは、政党とメディアがコラボをするという点だ。今やインターネットメディアは、大手テレビ局よりも力を持っていると言っても過言ではない。グノシーは、自身でも「2400万ダウンロードの国内最大級の総合スマホ情報アプリ」と謳っている。グノシーを通して毎日ニュースを見ている人も多いだろう。そうしたメディアが一つの政党、しかも権力を握っている政党とコラボをする。それだけで、民主主義の原則からしたらおかしいことだ。もちろん、インターネットは通信なので放送法の対象外であり今回の企画は合法である。

20年前で言うと、自民党が大手テレビ局と組んでクイズ大会をするようなものである。今でも、NHKなどの大手テレビ局が政党、特に自民党とコラボしてクイズ大会をするとなると大きな批判の的になり放送法の「不偏不党・公平性」の観点から大きな問題になるだろう。

うがった見方をすると、今後グノシーから配信されるニュースは自民党に有利になるように手心が加えられていると思われても仕方ないだろう。グノシーは、アルゴリズムでニュースの配信をしているのでそのような心配はないと会社としては言うだろうが、そのアルゴリズムは公開されているものではないので自民党に手心が付け加えられているかどうかは検証のしようがない。

〇「総理」という権力の乱用

当初、私が自民党からのラインで受け取ったメッセージには「安倍総理からのビデオレター」をプレゼントと書いてあった。「総理大臣」というのは政府の役職であって、自民党の役職ではない。自民党での役職は「総裁」である。総理からのプレゼントということは、日本という国のトップからプレゼントがもらえるという意味であり、一政党のトップからのビデオレターとは意味が全く違ってくる。

自民党から送られてきたラインメッセージ「グノシーQスペシャルウィーク・日本政治王決定戦」collaboration with 「#自民党2019」プロジェクト

自民党から6月3日に送られてきたラインメッセージ

6月3日に送られてきたラインでは「安倍総理からのプレゼント」となっていたが、放送初日の10日に送られてきたメッセージには「安倍総裁からのプレゼント」と修正されてあった。ということは自民党はこの問題点には気づいているということだ。ただ、こんな単純なことに気づかない人がこの企画を担当しており、それをチェックする人間が機能していないというのが今の自民党だろう。国会などから見えてくる権力を謳歌している自民党の姿と重なるものがあるといえばそれまでだが。

●初日は40万人を超える視聴が

10日の初日の番組をみると、番組終了までで47万人を超える視聴があったことが確認された。恐らくこれは延べ人数だろうが、ネットとしては驚異的な視聴だ。クイズの回答数も最終問題で合計4千人だった。内容としては、自民党の問題がでるわけではなく広く政治一般の知識が出るという無難な内容だった。

自民党が絡んでいなければ普通の政治クイズ大会といったところか。でも、しばらく注視する必要がありそうだ。

 

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